先に正直に書いておきます。この記事を書いている私は、転職エージェントを使って転職した人間ではありません。
USCPAに合格したあと、私は会社を変えませんでした。ただ、それは「転職を考えなかった」からではありません。むしろ逆で、本気で辞めるつもりでした。
本気で辞めるつもりだった
USCPAの勉強を始める前、私は仕事を辞めようと思っていました。「思っていた」というより、実際に転職活動をしていました。エージェントに登録し、面談まで進んでいます。
もともと私は、国際的な仕事がしたいと思っていました。海外とやり取りする部署に行きたくて、英語の勉強もそれなりに続けていました。USCPAを目指した時点でTOEICは830点です。
でも、当時いた場所では、それが歓迎されませんでした。
英語を勉強していると、そんなことを言われる場所でした
英語の勉強を続けている私に、こういう言葉が向けられることがありました。
「なんで英語なんか勉強してるんだ」
「英語ばっかりやってるから日本語がおかしいんだ」
冗談として流せる範囲を超えた言われ方をしたこともあります。頑張っていることが、茶化される対象になる場所でした。
正直に聞きたいのですが、そういう場所で、この先10年頑張れると思いますか。
私は思えませんでした。「こうなりたい」と思える人も、身近に見つけられませんでした。このまま10年経ったときの自分が、はっきり想像できてしまった。それが一番きつかったです。
だから辞めようと思いましたし、実際に動きました。USCPAを取ろうと思ったのも、半分は「ここから出るための武器がほしい」という動機でした。
応募先を絞る段階で、異動の内示が出た
転職活動は、エージェントとの面談を2〜3回終えたところまで進んでいました。どういう職種の、どういう企業に応募していくかを具体的に決める段階です。
そのタイミングで、社内の異動の内示が出ました。
それが、私がずっと希望していた国際セクションでした。
正直、迷いました。転職活動はそれなりに進んでいましたし、一度「辞める」と決めた気持ちを引っ込めるのは、自分の中で筋が通らない気もしました。
それでも、まず行ってみることにしました。
行ってみたら、英語ができて当たり前の場所だった
実際に働いてみて、驚きました。
上司も先輩も、英語ができるのが当たり前でした。誰も驚かないし、誰も茶化さない。英語ができることは、話題にすらなりません。それが前提で仕事が進んでいきます。
前の場所では「なんで英語なんか」と言われていたことが、ここではできて当然のこととして扱われている。同じ会社の中で、こんなに違うのかと思いました。
そして、周りのレベルが高いと、自分のモチベーションも自然に上がります。「もっとやらないと」と思える。下を向く理由がなくなる。「将来こういう上司になりたい」「こういう先輩になりたい」と思える人が、何人もいました。尊敬できる同僚もいます。
大げさに聞こえるかもしれませんが、人生がいい方向に動き出した感覚がありました。
会社は同じなのに、まるで転職したかのような感覚です。いま私は、海外出張を含めて、行きたかった場所で、やりたかった仕事をやらせてもらっています。毎日とりあえず楽しく働けている、という状態です。
そして転職活動は、そこで終わりにしました。同じ会社で、もう一度やってみようと思ったからです。
環境は、人を変えます。そして環境を変える方法は、転職だけではありませんでした。
USCPAは「転職」ではなく「配属」に効いた
ここが、この記事で一番伝えたいことです。
異動後、上司との1on1でこう言われました。
「USCPA持ってるなんてすごいね。初めて見た。そんな人がこの職場にいるなんて初めて見た」
正直に言うと、USCPAを取ったくらいで実力がめちゃくちゃ上がるわけではありません。合格した時点の私は、実務経験のある会計プロフェッショナルではありませんでした。それでも、実力以上に評価してもらえたのだと思います。
もちろん、資格だけで異動が決まったとは思っていません。日々の仕事はそれなりにちゃんとやっていましたし、それなりの実績があったうえでの評価だったはずです。資格は最後のひと押しでした。
もうひとつ大きかったのが、志望の軸が一貫して見えたことだと思っています。「国際セクションに行きたい」と言い続けている人間が、実際にUSCPAを取った。言っていることとやっていることが揃っているというのは、人を配置する立場から見れば分かりやすい判断材料だったはずです。
TOEIC830点では、差がつきませんでした
ここは、社内でキャリアを動かしたい方にとって一番実用的な話だと思います。
正直に言うと、TOEIC800点以上を持っていて、国際系の部署に行きたいと思っている同僚や先輩は、社内に山ほどいました。
私のTOEIC830点も、上司との面談で「すごいね」とは言われていました。でも、それだけです。同じことを言われている人が、他に何人もいる。希望を出しても通らなかったのは、たぶんそういうことだったのだと思います。英語ができるだけでは、志望者の列から抜け出せませんでした。
USCPAは、そこが決定的に違いました。
「初めて見た」「そんな人がこの職場にいるなんて初めて見た」——この言葉が出てくる時点で、母数がまったく違います。
英語ができる人は社内にたくさんいる。でも、USCPAを持っている人はいませんでした。国際系のポジションを社内で狙うとき、私に差をつけてくれたのはTOEICではなくUSCPAでした。
受験した実感としても、USCPAはTOEIC830点とは比べ物にならないくらい大変です。4科目合格まで約2年、総勉強時間は約1,630時間かかりました(詳しくはUSCPA合格までの全記録)。かけたコストが違うぶん、希少性も評価も違ったのだと思います。
社内で国際系のポジションを狙っている方に、これだけは伝えておきたいです。TOEIC800点台は、思っているほど差別化になりません。英語は前提として要りますが、それだけでは列から抜け出せません(英語力の話はUSCPAに必要な英語力にまとめています)。
それでも、また転職活動をするかもしれない
最後に、これも正直に書いておきます。
もしまた別の部署に異動することになって、そこが自分の望む場所でなかったら、そのときは転職活動を再開すると思います。今の職場に残ったのは「転職が悪いから」ではなく、「今いる場所がたまたま良かったから」です。
だから、この記事は「転職しなくていい」という話ではありません。
選択肢を両方持っておくことが大事だと思っています。私の場合はたまたま社内に答えがありました。でも、もし転職活動をしていなかったら、自分の市場価値も、他社がどう評価してくれるのかも、何ひとつ分からないままでした。外を見たから、残る判断ができたのだと思います。
いま迷っている方は、まず自分の市場価値を確認するところから始めるのがいいと思います。面談を受けたからといって、転職しなければいけないわけではありません。私のように、聞いたうえで残る人もいます。
会計・USCPAに特化したエージェントなら、無料のキャリア面談で市場価値の当たりをつけられます。
他社との比較はUSCPA向け転職エージェント比較、年収の相場はUSCPAの年収にまとめています。
まとめ
- USCPA合格後、私は転職しませんでした。ただし本気で辞めるつもりで、面談まで進んでいました
- 転職活動の途中で希望していた国際セクションへの異動の内示が出て、行ってみたら環境がまったく違いました
- USCPAが効いたのは転職市場ではなく、社内の評価と配属でした
- 上司の反応は「初めて見た」。TOEIC830点では同じ反応は返ってきませんでした
- 社内で国際系を狙うなら、TOEIC800点台だけでは差がつきません
- それでも私は、また必要になれば転職活動をします。外を見たから残る判断ができました
よくある質問(FAQ)
USCPAを取れば転職できますか?
転職の選択肢は確実に広がります。ただし私自身は転職していません。USCPAが効いたのは社外ではなく社内で、希望部署への配属につながりました。転職だけが資格の活かし方ではないと思っています。
USCPAは社内評価に効きますか?
私の場合は効きました。上司との1on1で「USCPA持ってるなんてすごいね、初めて見た」と言われています。ただし資格だけで決まったとは思っておらず、日々の仕事の実績があったうえでの評価だったはずです。
TOEICとUSCPA、どちらが評価されますか?
私の職場ではUSCPAのほうが圧倒的でした。TOEIC800点台を持っていて国際系を志望している同僚は社内に山ほどいたため、TOEICでは差がつきませんでした。
合格前に転職活動してもいいですか?
問題ないと思います。私は勉強中に活動していました。市場価値を知っておくと、合格後の判断が早くなります。面談を受けたからといって転職しなければいけないわけでもありません。
転職しない場合、USCPAを取る意味はありますか?
あると思います。私は社内で希望の部署に行けました。社内で手を挙げ続けている人にとって、資格は「言っていることとやっていることが揃っている」ことの証明になります。
