こんにちは、ちゃわです(@MezaseUscpa)。
2024年からのUSCPA新試験制度では、必須3科目(FAR・AUD・REG)に加えて、BAR・ISC・TCPの3つから1科目を選択する形になりました。
「どれを選べばいいか分からない」という声をよく聞くので、合格率・試験形式・勉強時間・向いている人を徹底比較しました。私自身は旧制度で合格していますが、情報収集・調査ベースで書いています。
【まず確認】3科目の合格率データ(AICPA公式)
選び方を考える前に、まず実際の合格率データを見ておきましょう。
Discipline科目 合格率比較
| 科目 | 2024年累計 | 2025年累計 | 2026年Q1 |
|---|---|---|---|
| BAR | 38.1%(Q4最低33.7%) | 41.9% | 41.3% |
| ISC | 58.0% | 67.8% | 66.8% |
| TCP | 73.9%(Q1最高82.4%) | 77.7% | 79.3% |
※出典:AICPA公式データ
TCPが圧倒的に高く、BARが最も低い状況です。ただし合格率だけで選ぶのは危険です。理由はあとで説明します。
参考:Core科目(必須)の合格率
| 科目 | 2024年累計 | 2025年累計 | 2026年Q1 |
|---|---|---|---|
| FAR | 39.6% | 42.1% | 43.5% |
| AUD | 45.8% | 48.2% | 47.8% |
| REG | 62.6% | 63.1% | 66.7% |
FARとBARはほぼ同水準の難易度です。BARを選んだ場合、FARに続けて難しい科目を受けることになります。
各科目の試験形式・問題数
全科目とも試験時間は4時間です。問題形式はMC(多肢選択式)とTBS(総合問題)の2種類。テストレット3終了後に15分の休憩があります(試験時間には含まれません)。
| 科目 | MC(問題数) | TBS(問題数) | MCの配点 | TBSの配点 |
|---|---|---|---|---|
| BAR | 50問 | 7問 | 50% | 50% |
| ISC | 82問 | 6問 | 60% | 40% |
| TCP | 68問 | 7問 | 50% | 50% |
ISCはMCが82問と3科目で最多で、MCの配点比率も60%と高め。TBSより短い問題で点を稼ぎやすい構造です。BARとTCPはFAR・AUDと同じ「50MCQ + 7TBS」の構成です。
時間配分の目安として、MCは1問あたり約1〜2分、TBSは1問あたり約18〜20分が推奨されています。
各科目の目安勉強時間
| 科目 | 目安勉強時間 | ポイント |
|---|---|---|
| BAR | 150〜250時間 | FARの直後に受けると相乗効果。3科目で最短 |
| ISC | 200〜300時間 | IT経験者は短縮可。旧制度にない論点が多い |
| TCP | 250〜350時間 | REG経験者に有利。全科目中最も勉強量が多い |
BARはFARとの内容的な重複が多く、FAR合格直後に受験すると最も効率よく学習できます。日本人受験生の多くがBARを選ぶ最大の理由の一つがこの点です。
一方TCPは勉強時間がREGとほぼ同量(250〜350時間)かかります。「REGが得意で税務の知識を深めたい」という人でないと、勉強量に対するリターンが見えにくい科目です。
BAR(ビジネス分析・報告)
どんな科目?
旧制度のBEC(ビジネス環境と概念)の内容を引き継ぎ発展させた科目です。財務分析・経営管理会計・M&A・FP&A(Financial Planning & Analysis)が中心です。
合格率と難易度
2024年の年間累計合格率は38.1%と最も低く、FARとほぼ同水準です。特に2024年Q4は33.7%まで落ち込みました。ただし2025年は41.9%に改善しており、予備校の対策が整ってきています。今から受験する方は2024年組よりかなり有利です。
主な出題範囲
- 財務諸表分析・業績評価指標(KPI)
- 財務管理(資本コスト・バリュエーション)
- 経営管理会計(予算・原価計算)
- M&A・企業価値評価
- データ分析・非財務情報の報告(ESGなど)
こんな人に向いている
- Big4・監査法人・FASコンサルを目指す人
- 事業会社の経理・財務・経営企画・M&A部門を目指す人
- どの科目を選ぶか迷っている人(「迷ったらBAR」)
- 税務・ITに特化したキャリアを考えていない人
アビタスもBARを推奨しており、日本人受験生の多数派がBARを選択しています。合格率は最低ですが、取得後のキャリアの汎用性は最も高い科目です。
ISC(情報システム・統制)
どんな科目?
新制度で新設された科目で、旧制度には存在しなかった内容が多く含まれています。IT監査・サイバーセキュリティ・データエンジニアリング・システム内部統制など、会計×ITの専門知識が問われます。
合格率と難易度
2024年のスタート時(Q1)は50.9%と低かったものの、2025年には67.8%に大幅上昇。2026年Q1も66.8%と高水準を維持しています。開始当初から年々改善が著しく、今から受験する方には追い風の状況です。
MCが82問と多いですが、配点比率も60%と高めなので、MC得意な人には有利な構造です。
主な出題範囲
- IT一般統制・アプリケーション統制
- サイバーセキュリティ・情報セキュリティ
- データ管理・クラウドコンピューティング
- システム開発ライフサイクル(SDLC)
- SOC報告書(SOC 1・2・3)
こんな人に向いている
- IT系出身者・情報システム部門にいる人
- IT監査・データ監査分野に進みたい人
- Big4のアドバイザリー部門(テクノロジーリスク等)を目指す人
私のような理系出身者には一見向いていそうですが、「監査・統制」に特化した内容なので、エンジニアリングやプログラミングとは少し毛色が違います。IT監査のキャリアを明確に考えているなら選択肢に入れる価値があります。
TCP(税法遵守・税務計画)
どんな科目?
REG(Core科目)で学ぶ税法をさらに深掘りした科目です。米国の個人税・法人税の複雑な論点と国際税務が問われます。
合格率と難易度
3科目で圧倒的に合格率が高い科目です。2024年Q1に82.4%を記録し、年間累計でも73.9%。2025年は77.7%、2026年Q1は79.3%と一貫して高水準です。
ただし、TCPの合格率が高い最大の理由は「税務に強い受験生が集まる母集団効果」とされています(AICPAも明言しています)。税務経験がない人が選んでも同じ合格率になるとは限りません。また勉強時間も250〜350時間とDisc科目で最長です。
主な出題範囲
- 個人所得税の高度な論点(退職所得・信託など)
- 法人税の高度な論点(組織再編・連結納税)
- パートナーシップ課税
- 国際税務(移転価格・源泉徴収税)
- タックスプランニング戦略
こんな人に向いている
- 税理士事務所・Big4の税務部門を目指す人
- 国際税務・移転価格のキャリアを考えている人
- REGが得意で税務をさらに深く学びたい人
合格率だけで選んではいけない理由
TCPが圧倒的に合格率が高いので「じゃあTCPにしよう」と思いがちですが、AICPAは「合格率はあなたのキャリアや強みに基づいて科目を選ぶべきで、合格率で選ぶべきではない」と明言しています。
TCPの合格率が高い主な理由は受験者の母集団の質にあります。税務職に就いている人、REGが得意だった人が自然とTCPに集まるため、合格率が高くなります。税務バックグラウンドのない人が選んでも、その恩恵は受けにくいです。
むしろ、自分のバックグラウンドとかけ離れた科目を選ぶと「試験のための勉強」になってしまい、取得後にその知識を活かす場面も限られます。
結局どれを選べばいい?
シンプルに整理するとこうなります。
- 税務専門のキャリアを目指している・REGが得意だった → TCP
- IT監査・システム監査に興味がある・IT系のバックグラウンドがある → ISC
- 上記どちらでもない・迷っている → BAR
大多数の受験生にとってはBARが最もオーソドックスな選択です。合格率は最低ですが、FARとの内容的重複が大きく勉強時間が最短(150〜250時間)、かつ取得後のキャリアの幅が最も広い。
合格の有効期限(科目合格の期限)について
Discipline科目を選ぶ前に、合格の有効期限も確認しておきましょう。CPA Evolutionで変更された重要ポイントのひとつです。
旧制度では合格から18ヶ月以内に残りの科目をすべて合格しなければなりませんでしたが、新制度では多くの州で30ヶ月(約2年半)に延長されました(州によっては36ヶ月の場合も)。
| 州 | 旧制度 | 新制度(CPA Evolution) |
|---|---|---|
| ニューヨーク(NY) | 18ヶ月 | 30ヶ月 |
| アラスカ | 18ヶ月 | 30ヶ月 |
| ワシントン州 | 18ヶ月 | 36ヶ月 |
| グアム | 18ヶ月 | 30ヶ月 |
日本の社会人受験生にとって、これは大きな改善です。Core3科目(FAR・AUD・REG)を先に合格させて、最後にDisciplineを受けるという戦略も取りやすくなりました。
ただし、合格した科目の期限は個別にカウントされるため、最初に合格した科目から時計が動き始めます。計画的なスケジュールを組むことが引き続き重要です。
まとめ:3科目を5軸で比較
| 比較軸 | BAR | ISC | TCP |
|---|---|---|---|
| 合格率(2025年) | 41.9% | 67.8% | 77.7% |
| 試験形式 | 50MC + 7TBS | 82MC + 6TBS | 68MC + 7TBS |
| 目安勉強時間 | 150〜250時間 | 200〜300時間 | 250〜350時間 |
| FARとの親和性 | ◎ 高い | △ 低い | △ 低い |
| キャリア汎用性 | ◎ 広い | ○ IT監査系 | ○ 税務系 |
科目選びで迷い過ぎて学習が止まるのが一番もったいないです。方向性が決まったらすぐに動き出しましょう。
新試験制度全体についてはこちらの記事もご覧ください。
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